第11回「装備論 III :武器の種類」


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ルディア: 今回は『装備論 III :武器の種類』です。
ナイド: 幻想、現実問わず、武器には実に様々な種類があるな。
Phant.F: ああ。現実において武器とは狩猟と戦争の歴史の縮図とも言えるもので、対象と目的に合わせて試行錯誤が繰り返された。
ルディア: 相手が変われば武器を変え、相手の装備が変われば武器を変え、武器が改良されれば新たな作戦が生み出され、新たな作戦のために武器が生み出され、という流れでどんどん増えていったのですよね。
Phant.F: だから、現実には武器には相性もあれば、より優れた武器というのもある。
ナイド: だが、ファンタジーにおいて、武器の種類により特徴や相性はあれど、武器の種類に優劣はあまり付けない。特定の条件を満たさなければ装備できない武器種、というものは強くなるし、誰でも使える武器種は弱めになる傾向はあるが。
ルディア: 同じ武器種においてはより強い=より高価でレアなもの、というのは当然ありますが、同程度の価値で同程度の装備条件であれば武器種の優劣は付けないのがゲーム的ではありますね。
Phant.F: そしてクリエイター達はみな、武器種の特性に頭をひねる事になる。
ナイド: 一般的によくありそうな武器種である、短剣(投擲可)、細剣、片手剣、片手半剣、両手剣、刀、短槍(投擲可)、長槍、馬上槍、片手斧(投擲可)、両手斧、槍斧、長柄刀、片手槌、両手槌、殻竿、片手嘴、両手嘴、片手鎌、両手鎌、短杖、杖、素手、護拳、爪、鞭、鎖、鎖鉄球、投げ矢、手裏剣、短弓、長弓、弩、石、投石帯、円月輪、あたりであっても、それがどんな特性かと、ゲーム的に意味があり、かつ納得できるものとなると難しいからな。
ルディア: いえいえいえナイドさん、どうみてもそれは一般的では無いです!
Phant.F: いや? 軽/重、短/長、片手/両手/両用、斬撃/刺突/打撃/複合、近接/中距離/長射程、くらいのざっくり観点で見ても、最低これくらいにはなるよなぁ。
ナイド: ふむ。そしてそれはそれぞれの武器種の特性を考える重要なヒントになる。
ルディア: ・・・では一般的でない事には目をつむる事にしまして。まず、軽/重によってどのような特性になりますか?
ナイド: そうだな・・・軽ければ、扱いやすく、素早い動作や動作の切り替えがしやすく、特に武器を振る攻撃に威力が乗りにくく、相手の体勢を崩しにくい。重ければほぼその逆で、扱いにくく、素早い動作や動作の切り替えがしにくく、特に武器を振る攻撃の威力が上がり、相手の体勢を崩しやすくなる。
ルディア: 一長一短な感じですね。短/長ではどうなりますか?
ナイド: 短ければ、正確な動作をしやすく、有利な間合いを取りにくい。長ければ、正確な動作をしにくく、有利な間合いを取りやすい。
Phant.F: この間合いが曲者でね。ゲーム的にどのような解釈をするか、特に難しい。先に攻撃しやすいとか考えると素早さの概念と競合するし、一概に防御に有利とも言いにくいし。
ルディア: これ、剣と槍と斧を考えただけでも、何を取捨選択するか物凄く迷いますね・・・。
Phant.F: はっはっは、それを考え始めた者にはこう言おう、「正解の無い底なし沼にようこそ」。
ナイド: 畳み掛けるようで申し訳ないが、さらに行くぞ。武器を両手で扱えば、扱いやすく、動作の切り替えがしやすく、威力が上がり、正確な動作がしやすくなる。
ルディア: あれ? 今までと違っていいことづくめではありませんか。
ナイド: しかし盾が持てないし、二刀流もできないし、何も持たないままで別の道具をつかってみたり地面に手をついてアクロバティックな行動をしてみたりする事もできない。最後のはともかく、こと盾を持つか持たないかというのは役割を大きく変えるほどの重要な要素だ。
Phant.F: 両用の武器は、状況に応じて切り替えできるという強みがあるが、片手で扱う場合にはやや扱いにくく、両手で扱うにしては威力が出にくいという中途半端な性能になりうる。切り替えできるということがゲーム的にメリットになりにくいため、特徴を生かしにくい武器になってしまいがちだ。
ナイド: 片手で叩き斬ってよし、両手で突き刺してよし、のバスタードソードが、他の剣に比べてどれほど有用であったかは、よく分からんからな。そういう複合武器の使い手は大抵練度が高く、言ってみれば「レベルが高かったから強かった」というだけの話かも知れんからな。
ルディア: せっかく斬撃/刺突複合武器の話が出ましたし、そこも訊きましょうか。
ナイド: 打撃は、比較的練度が低くても有効打になりやすい。相手の体力を確実に削る。強固な鎧でも完全な無効打にはなりにくい。
ナイド: 斬撃は、同じ威力でもより致命的になりやすい。場合によっては部分的に切り飛ばす。強固な鎧には通りにくい。
ナイド: 刺突は、内臓のある相手には致命的になりやすい。当たり所によってダメージに振れ幅が大きい。鎧は当たり所と当たり方によっては通し、あるいははじかれて無効打になる。打撃や斬撃に比べて高い練度が必要になる。
Phant.F: そしてそれらの2種あるいは3種を複合した武器は、より高い練度が必要になる傾向にある。
ルディア: いよいよ特性がこんがらがってきましたね・・・例えば重い打撃武器は、重いから扱いにくいし、打撃だから当てやすいし、命中させやすいことにすれば良いのか命中させにくいことにすれば良いのか分からなくなってきました。
Phant.F: そこら辺を納得できるように単純化して数値化したのが今の世に出ているゲームの数々だと思うと、畏敬の念が湧くというものだ。
ルディア: そこまでやってる物はそんなに多くないと思いますけどね・・・。
ナイド: では、まとめようか。
Phant.F: 最終的には「らしさ」の領域なので、各々が知恵を絞ってそれっぽく設定するしかないよな。
ルディア: やっぱりそうなりますよね、これは。

おまけ。こんな単純なものでも解釈に差異が出る。

武器種武器例重さ長さ持ち手斬撃刺突殴打
短剣ダガー短/遠隔
細剣レイピア
片手剣ロングソード
片手半剣バスタードソード両用
両手剣ツーハンドソード
カタナ両用
短槍ジャベリン中/遠隔両用
長槍ロングスピア
馬上槍ランス
片手斧トマホーク中/重心遠い短/遠隔
両手斧ウォーアックス重/重心遠い
槍斧ハルバード重/重心遠い
長柄刀グレイヴ
片手槌メイス中/重心遠い
両手槌ウォーハンマー重/重心遠い
殻竿フレイル重/重心遠い
片手嘴中/重心遠い
両手嘴ウォーピック重/重心遠い
片手鎌シックル中/重心遠い
両手鎌サイズ重/重心遠い
短杖中/遠隔両用
クォータースタッフ
素手
護拳
バグナウ
ウィップ中距離
チェーン中距離片(準備は両)
鎖鉄球モーニングスター重/重心遠い中距離
投げ矢ダート遠隔
手裏剣シュリケン遠隔
短弓ショートボウ遠隔
長弓ロングボウ遠隔
クロスボウ遠隔片(準備は両)
遠隔
投石帯スリング遠隔片(準備は両)
円月輪チャクラム遠隔

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