第9回「術師基礎論 II :治癒師」


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ルディア: 今回は『術師基礎論 II :治癒師』です。
ナイド: 治癒師…といえば通常は、術師の一派だな。
Phant.F: そう、術師基礎論 I でも述べたように、魔術師とは『切り札』だ。しかし、こと治癒魔術師となると、話が少々変わってくる。
ルディア: 「魔法でしかできないこと」であるのに変わりはないのではないですか?
Phant.F: 確かに。けれどその本質は、他者、とりわけ戦士の、『壁』の能力の強化にある。
ナイド: 壁が崩れかかりそうにならない限り、治癒師に役目は無いようなものだからな。「治癒しかできない」という存在は、いささか融通が利かない。まあ、常に壁が崩れそうになるような強敵相手には強いが。
ルディア: 強敵にたどり着くまで、いたずらにリソースを消費してはいけない、という点は、やはり術師ですね。
Phant.F: そうだな、ゲーム的になると、最大効率での治癒や支援を求められる事になるな。温存した方が効率がいいのか、支援した方が効率がいいのか、治癒すべきタイミングなのか、誰を優先して治癒すべきなのか、魔術師ほどではないけれど考える事は多いね。まあ、読み誤ると仲間の命を危機にさらす事になったりするから、選択の責任は割と重いけど。
ナイド: やれる事は少ないが、確実にパーティーの持久力と強敵への対応力を上げる、言い方は悪いが『予備タンク』の役割だな。
Phant.F: 自分の持つリソースは他者の為の物。誰にいつ、何を配れば全員生きて障害を突破できるか。決して優しいだけでは勤まらない、高度な先読みを必要とする役割だな。
ルディア: 欲を言えば、全員無傷の状態を維持したいのですけれど。治癒能力の枯渇は、パーティー全員を危機にさらす事と等しいですから、そうも言ってはいられませんね。
ナイド: では今回はオレが問おう。治癒師にとって大切な心がけとは、何だと思うか?
ルディア: 大局を見て、必要な場所に必要な時に必要なだけ、自分の能力を行使する事、ですね。その為に、味方の能力を過大評価も過小評価もせず、敵の能力も正しく把握する事、も必要でしょうか。
Phant.F: 戦術どころか戦略の域に片足を突っ込んでるな、それは。
ナイド: 術師である以上は頭脳労働からは逃れられないが…治癒師に対するイメージが変わりそうだ。治癒師は皆、腹黒、と覚えておこう。
ルディア: …否定はしませんが、それを治癒師を目の前にしても言えるのは何というか、凄いですよね。
Phant.F: うわ、これあれだ、治癒師の機嫌を損ねたら治癒魔法が回ってこなくなるって偉い人がいってた奴だ!

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