第8回「装備論 II :重装戦士と軽装戦士」


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ルディア: 今回は『装備論 II :重装戦士と軽装戦士』です。連続ですね。
Phant.F: うむ、ネタを2つ同時に思い付いたからな。
ナイド: これをネタ2つと言っていいのか。 まあ、1度に語るには多すぎるから分けてしかるべきではあるが。
ルディア: よく考えたら軽装ヒーラーって私ですし、軽装戦士ってナイドさんじゃないですか。
Phant.F: ああ、そういやそうだな。今気付いた。
ナイド: そろそろ本題に入ろうか。 今回はどんな切り口で語るのだ?
Phant.F: 戦士が軽装になりうる理由、という観点だな。 戦士というのは基本的には前衛をはる壁の能力、防御力が重視されるべきものだ。 だが現に、軽装の戦士というのは存在する。 その様々な理由を語っていこう。
ルディア: では、最初の理由はなんですか?
Phant.F: カネだ。
ルディア: …。
ナイド: 身も蓋も無いな。 事実だが。
Phant.F: 財力こそ、装備選びの基準となる最たる物だからな。 現実でもゲームでも、カネが無ければ十分な装備は揃わん。武器も防具も、決して安い物では無いからな。…まあ武器は、種別によっては格安でも手に入るが。防具はそうはいかない。
ルディア: 言われてみれば、しかるべき場所の正規兵はいい鎧を着けているイメージがありますし、正式な訓練を受けていない戦士は不十分な装備であるイメージがありますね。
ナイド: まあ、そこらへんの野良戦士にプレートメイル一式はなかなか揃えられんからな。 基本的に、プレートアーマーは完全オーダーメイド品だ。
Phant.F: 本当は、宝箱に入っているプレートアーマーなんぞ体に合うわけがないからな。 だから魔法の鎧はその辺の問題も解決できるから魔法の鎧なのだと思う事にしている。
ルディア: では、次の理由に行きましょうか。
Phant.F: 相手の武器。
ナイド: 幻想世界では微妙な所だが。
ルディア: どういう事でしょうか?
Phant.F: まあ、主にこれは現実での話だな。 騎士がメイスを手に、スーツアーマーを着る時代から時は流れ、銃士がレイピアを手に、鎧をほとんど着ない時代になった。文明は進んでいるのに、だ。
ナイド: 「進んだから」だろう?
Phant.F: そうだな。
ルディア: レイピアが何か関係あるのですか?
Phant.F: レイピアはどちらかというと、鎧を着なくなった結果だな。着なくなった理由は、銃にある。
ナイド: 攻撃を防げない鎧に、意味は無いからな。幻想世界ならば銃弾でさえ防げてもおかしくないからな。
Phant.F: 大抵の幻想世界は、プレートをぶち抜くほど銃が発達していないだろうし、プレートをぶち抜くクロスボウと連射性能が大差なかろうからな。
ルディア: そうするとこれはあまり幻想世界では大きな理由にはならないですね。 まだ理由はありますよね?
Phant.F: 気候。あと地形。
ナイド: また現実的なところが来たな。
ルディア: 暑そうですものね、重い鎧。 暑い気候のところでは長く着られた物ではないですよね。
Phant.F: 薄いチェインシャツ一枚着ただけでも、汗が飛ばなくなるからな… 剣道の防具一式も、相当暑かったし。
ルディア: 幻想の住人でない割には、いろいろ着てますね…。
Phant.F: 日本で西洋ほど鎧が重装にならなかったのは、気候と地形によるところが大きいだろう。蒸し暑い時期が長い事と、平坦な土地が少ない事と。
ナイド: 森林地帯も厳しそうだが、砂漠も厳しそうだな。
Phant.F: 十字軍が照りつける太陽に金属鎧をあぶられてえらい目に遭ったという話があったような。鎧の上に着るサーコートが作られる原因になったとかいう。
ルディア: もう少し現実側でない理由も聞きたいところですが、他には?
Phant.F: 戦闘以外の技術。
ルディア: ナイドさんが軽装である理由、ですね。
ナイド: 盗賊、斥候、暗殺者、その他… 足音を潜め、物陰に身を隠し、あらゆる地形を踏破する者達。 重い鎧は、それらの大きな障害となってしまう。故に、軽装にならざるを得なかったのだ。
ルディア: 鎧が無くとも十分に強いように思えますが。
ナイド: 残念ながら、重武装の戦士に対して対等というわけにはいかない。 全てのリソースを戦いに使っていない以上、仕方のない事だが。 比較的戦闘に重きを置く暗殺者でさえ、十分なアドバンテージをあらかじめ作り出せない限り、勝ち目は無い。
Phant.F: 完全に不意を突く、武装していない時を狙う、などなど… 正面から勝てない以上、そうせざるを得ないな。
ルディア: まだ他にもありますか?
Phant.F: 魔法。
ルディア: 完全に幻想になりましたね。
ナイド: 魔法を行使するのに、鎧が邪魔になるという設定は良くあるからな。 魔法戦士は、自分が魔法を使うが故に自分を重武装にできないというパターンがよくあるな。
Phant.F: 魔法戦士は、通常の重装戦士よりも強くなりうるパターンがあるな。 魔力という有限リソースを消耗するが故に、持久戦は不利だが短期決戦に強い。自己強化系魔法戦士とか脅威だ。
ルディア: でも回復系は重武装の事もあるのですよね。
Phant.F: そうだな。「回復系魔法は鎧の制限が無い」という設定も多いため、重装であることも多々あるな。自己回復する重装戦士なんてもう生半可な攻撃じゃ落ちない、まさに壁。反面、そういう場合は火力を犠牲にしているものだが。
ルディア: 純粋な戦士で、かつ装備が選べる財力があっても軽装の戦士っていますよね。それはどういう理由なのですか?
Phant.F: 多少の防御力を犠牲にしてでも、機動力が欲しいというスタイルの場合だな。
ルディア: 機動力、ですか。 それは、防御役の前衛が防御力を犠牲にしてでも欲しい物なのですか?
ナイド: 純粋な戦士が機動力を選ぶというのは、攻撃寄りな選択ではあるな。 だが、片手剣+楯ではなく両手剣を選ぶという選択肢があるように、必ずしも不必要な選択肢ではない。
Phant.F: 近接物理攻撃は、近接であるという限定がある分だけ威力が強いというのがよくある設定だからな。 まあ現実は弓矢が一番殺しているというが。 ともあれ、強い近接攻撃をより速く、より遠くへ当てるためには機動力が必要なのだ。
ナイド: 極論を言えば、相手の後衛を近接物理で殴れればそれが一番早い。 そして機動力はそれを可能にしうるものだ。
ルディア: 個人的には、それで手薄になるほうが気になりますが…
ナイド: 必ずしも、機動力重視の戦士が防御力で劣るとは限らない。 例えば毒をもった相手など、当たるとやっかいな場合、重装戦士ではその被害を被りやすいが、機動力重視の戦士はそもそも当たらないように立ち回る事に長けているため、そういう追加効果を受けにくい。
Phant.F: まあ、D&DあるいはWizなんかのAC(アーマークラス)の概念は、戦士の鎧だろうが忍者の回避だろうが同じ「当たりにくさ」だがなw
ナイド: 他にも場合はある。 例えば相手の増援が後方から迫ってきた場合など、重装戦士では守りにいくのに時間が掛かってしまうが、機動力に優れた戦士ならばすぐに後衛の元へ駆けつけ、守る事ができる。 機動力は、汎用性を上げる能力とも言えるな。
ルディア: 確かにそれはありがたいですね。
ん〜、でも、これも違いますね…
ナイド: ? どうした?
ルディア: いえ、今まで出てきた理由を全部考えても、女戦士がビキニ鎧を着ている理由が分からなくてですね…。
Phant.F: アレだけは、オレは断じて認めん!w アレよりは、Wiz高レベル忍者のすっぽんぽんのほうがまだマシだ!w
ナイド: ずいぶん長くなったが、そろそろまとめようか。
ルディア: 戦士が軽装になり得る理由は多々ある、という事ですね。 ただしビキニ鎧に理由はなし、と。
Phant.F: お色気要員なんぞ魔女にでもまかせとけ。
ナイド: 男はじーさまばっかりだがな、魔法使い。
ルディア: では、今回はここまでですね。 長い事お付き合い頂き、ありがとうございました。

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