第30回「ゲームバランス(4)システム作成」

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(偵察兵ファント)というわけで、実践編らしい。今回は、実際に構築する話だ。
(薬草師ルディア)とはいってもFさん、システムの構築を『最後までやった』事が無いではありませんか。
(Phant.F)はっはっは、いつも完成度50%で終わって悪かったな!
(偵察兵ファント)開き直るなぁっ!(スパァンッ!←ハリセンで叩く音)
(Phant.F)痛ぇなぁっ!‥‥オレだって好きで50%で終わっているわけじゃない!『歴史』が苦手な僕には、『世界』が作れないんだよ。
(薬草師ルディア)そして『魔法』が嫌いなあなたには、『魔法のバランス』を上手く取ることができないのですね。
(Phant.F)ぐふっ‥‥叩かれるよりよっぽど痛い‥‥。
(偵察兵ファント)でもまあ、シンプルでシステムだけのシステムならば、お前は一応作ることができるよな。もっとも、不確定要素が少なくていまいち面白味には欠けるが。
(薬草師ルディア)最近作ったものなんて、Fさんが一応得意なの分野であるはずの武器の事なんてかなり無視されてますからね。
(Phant.F)あれは『戦力値』という概念を実現させるためだけに作ったシミュレーション向けのデータで、武器の差異を加えるとバランスを取るのが難しくなるんだよ!
(偵察兵ファント)計算して良く分かったからな。防護点という概念がバランスに対して非常に邪魔になることが。
(薬草師ルディア)でもそれは、今回のシステムの特徴のせいでは無いのですか?レベルが高いところでも低いところでも戦力という数値を1つに固定させるなんて、無理があるのですよ。
(Phant.F)でもこのルールは、『等しい戦力値』である限りどんな作り方をしても部隊の総力は等しくなるはずなのだ。ゆえにシミュレーション向けなのだ。
(偵察兵ファント)これに武器の概念を加えようとするならば、最強が嫌いである限り、武器の表現は得手不得手によるものしかない。防具は防護点的な表現をすると高レベルと低レベルでは防具の価値が変わってしまう。
(薬草師ルディア)だからそれは、上昇がリニアじゃないから悪いんですよ。1つの値で表現することを諦めてリニアな上昇をさせれば防護点だって価値は等しくなるはずですのに。
(Phant.F)そうすると今度は命中率との兼ね合いがなぁ‥‥。
(偵察兵ファント)ところでだ。この談義、はたから読んでるとわけが分からないぞ、間違いなく。
(Phant.F)ああ、それは、この談義には付録が付くことが前提条件だからだ。
(薬草師ルディア)それならば先にその話をして下さいっ!
(偵察兵ファント)こんな1つのシステムに偏った話をするより、もっとグローバルな話ができないのか!?
(Phant.F)ああ、ならばそれは、今からやろう。前置きはこのくらいでいいかな。
(偵察兵ファント)(↓と同時に)こんだけ使ったスペースは前置きかいっ!
(薬草師ルディア)(↑と同時に)こんなに長い前置きをしないで下さいっ!
(Phant.F)というわけで、延長戦に入るぞ。(第30回・第一部・終わり)

<2>
(Phant.F)というわけで、延長戦なのだよ。
(偵察兵ファント)お前、最初っからそのつもりだったろ‥‥。
(Phant.F)ああ。
(薬草師ルディア)ああ、じゃありませんっ!資源はもっと大切に使ってくださいっ!
(Phant.F)まあ怒るな。ここからは真面目な話だ。
(偵察兵ファント)今までは真面目じゃ無かったのか!?
(Phant.F)殆んどのシステムには、まず『能力値』が定められている。一般に良くあるのが、筋力(STR)だとか器用さ(DEX)だとか知力(INT)だとか生命力(VIT/CON)だとか、その辺りかな。
(偵察兵ファント)そしてその『能力値』から、実際に装備などと合わせた時の様々な数値が決定される。良くあるのが『物理(魔法)攻撃力』『防御力』『命中率』『HP』『MP』‥‥まあ後の2つは能力値から独立していることもあるけど。
(薬草師ルディア)同レベルなら、基本的に同じレベルの装備をしていると考えていいですから、だいたいはバランスを取るには能力値の決め方、能力値から実際に使う値の算出の仕方が重要になりますね。
(Phant.F)どんな数値があるのかによっても、かなり変わるからねぇ‥‥『回避』の概念があるか否かとか、かなり重要になってくるし。
(偵察兵ファント)『回避力』は欲しいなぁ‥‥最も、RPGでは殆んどの攻撃は当たるけど。シミュレーションゲームになると、当たらない事が結構増えてくるんだけどなぁ。
(薬草師ルディア)回避力の概念が変わった形で表現されていたものと言えば、ドラクエ3ですね。素早さの1/2が防御力の基本値というのは、面白い考え方ですよね。
(Phant.F)当たらないRPGはあるぞ。Wizは何回も殴って一回も当たらない事も良くある話だ。あれは逆に、防具の価値=回避力なのだが。当たればダメージ減少は無し。なかなか強烈なルールだ。
(偵察兵ファント)さらにあれは、筋力が攻撃力にも命中力にも関わるんだよな。でも敏捷度は器用度の概念を含んでいて、行動順(Wizでは超重要)を決めるものとなるとともに鍵開けの成功率にも関わったり。
(薬草師ルディア)何にしても、能力値が決まらないことには、その後を決めることはできないですよね。
(Phant.F)好みだ!好みで決めるのだ!但し、全ての能力値の価値は殆んど同じであるべきだ。それにさえ気を配れば、好きなように決めて良い!
(偵察兵ファント)また始まった‥‥。まあ、好みでつくれば後で苦労しても乗り越えられるだろうし、それが一番いいかも知れないが。あとは、そのシステムで何がやりたいか、かな。
(薬草師ルディア)RPGであまり当たら無さ過ぎても時間が長引くだけですしね。あと、魔法は世界によってかなり価値が変わるでしょうから、そのあたりは世界を作ってからシステムを決めた方が簡単になるかも知れません。
(Phant.F)魔法がぱかぱか使える世界ならいっそのことMPはデフォルトで自動回復つけてそのかわり威力を落したりすれば良いかな。もしくは魔法を防御する方法が全員に身に付いているとか。
(偵察兵ファント)技とかあるとまた話が変わってくるしな。戦士系が何かを消費して普段より強力な攻撃が放てるとすると、魔術師の価値が多少減るからな。そういう世界なら、何も減らさずに使える通常攻撃のような魔法があってもいいかも知れない。
(薬草師ルディア)そろそろまとめましょうか。
(Phant.F)まず、システムを作ろうと思ったら、何をやりたいかを考える。同時に、どんな世界を作るかも先に考えた方がいいと思う。
(Phant.F)そうしたら、その世界でどんなことができるかを決めて、それにふさわしい能力値を決める。もしくは能力値を先に決めて、それを各分野に当てはめていく。
(Phant.F)そうして能力値と行動をリンクさせたら、次はレベルやクラス、アビリティ・スキル、装備などを取捨選択してそれぞれごとのバランスを取っていく。
(Phant.F)そうすれば、どの角度から斬っても最低限のバランスは取れたシステムになるはずだと思う。ただし、面倒なことも多々あると思うけど。それぞれの能力の整合性とか。
(偵察兵ファント)先制攻撃とか、難しいからね。これに対して近似解を出すと、(一般に戦闘にかかると思われるターン数)/(一般に戦闘にかかると思われるターン数−1)が価値になる。例えばこれが1.25になるなら、そのくらいの価値があるって事。
(薬草師ルディア)もしこれを見て、システムを作った方がみえるなら、それを是非教えてくださいね。
(薬草師ルディア)では、これで、ゲームバランスの話を締めくくりたいと思います。つたなくて長い文章をここまで読んでくださり、ありがとうございました。(第30回・終わり)

付録『戦力 4√2 システム』

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