第29回「ゲームバランス(3)レベル」

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(薬草師ルディア)前回に引き続き、ゲームバランスのお話です。今回は、前回の最後にも少しありました、レベルに対するバランスのお話です。
(偵察兵ファント)前回の最後‥‥アレはレベルの話か?
(Phant.F)ああ、あれはレベルの概念を含んだ話だ。レベルというものがどれほどの価値を持つかはゲームシステムによって変わるが、レベルが高い方が『強い』はずだ。レベル差と強弱が『明らかに』反転しうるようでは、レベルの概念を成さない。
(薬草師ルディア)え?レベルが上がる方が弱くなるって事があるんですか?
(偵察兵ファント)いや、それはあまり無いだろうが、この話は相対的な話。あるキャラがレベル5で、あるキャラがレベル10の時、レベル10のキャラの方が明らかに弱いことがあるのは問題だ、と言っているのさ。キャラ重視のゲームにたまに見られるものなのだが。
(Phant.F)‥‥まあ、システムによっては高々5レベルなんて許容範囲だが、この場合は1レベルの価値がそこそこある場合の話ね。
(薬草師ルディア)でも、『強さ』って単純な数値ではありませんから、それを数値化するのは難しいのではありませんか?
(Phant.F)ああ、確かにそうだな。だが、単純な数値に見せかける事はある程度できる。『確率』っていう道具を使えばね。
(薬草師ルディア)前回、「確率とかいう魔法」とおっしゃっていましたが?
(偵察兵ファント)確率って奴は有用だが、同時に危ない話だから。良く使われるのが『期待値』って奴だが、こいつは本当に危ない。本来『離散的』なものが『1つの数値』になってしまうのだから。
(Phant.F)『分散』の値も使えばその危険さは軽減されるとは思うのだが‥‥面倒で、とてもじゃないがやってられないか。だからその辺は、感覚に頼るしか無いのだろうが。
(薬草師ルディア)‥‥また数学チックな話になってきてますよ。あなたは元々システム組むのなんて得意では無いはずですのに。
(Phant.F)放っとけ。‥‥しかし、数学チックとはまた微妙な表現を。語尾-ic(,-ick,ique)にはもともとtは入らないのだが。‥‥まあ、mathematic(al)だから、許容範囲かも知れないが。
(偵察兵ファント)話飛びすぎ。で、レベルの価値の感覚的なものとしては、あまり小さい差でほとんど勝てなくなるのは嫌だし、かといって大きな差があっさり引っくり返るのもどうかと思う。それさえ気を付ければ、期待値で計算してもそんなに問題は無いと思う。
(偵察兵ファント)比較的安定した不確定要素が幾つかあると、いいんじゃないかと思う。まあ、不安定な不確定要素もスパイスに混ぜておきたい所だが。っと、またレベルの話からズレてきた。
(薬草師ルディア)要するに、固定値的な強さは、レベルが同じならばだいたい等しい方が良くて、レベルが少し違ってもその差はあまり大きくなくて、ある程度の差までは『勝てる確率』がある程度あるのがいいのですか?
(Phant.F)『勝てる確率』という言葉が出てきたね。1対1で正面切って戦って、有利不利が無いと仮定したら『戦力』というものを計る物差しにはちょうどいいかもしれない。
(Phant.F)ただ、同レベルで50%に近くて、差が出てきたときに20%くらいになるのはどの程度の時か――と計算できれば分かりやすい話なのだが、さっきも言ったようにとてもじゃないけど必要な計算が多くてやってられないと思う。
(偵察兵ファント)勝率計算は、結構面倒だからな。6面体サイコロ1つ振るのと、1つ振って1を足したのとでは、後者の方が明らかに大きな数になる(期待値計算で3.5と4.5)のは分かるだろうが、勝率は感覚では答えられないだろう。
(偵察兵ファント)答えは、前者が27.8%で勝って、後者が58.3%で勝って、引き分けが13.9%だ。引き分けは振り直しにすると、前者が32.3%で勝って、後者が67.7%で勝つ。
(Phant.F)面倒なんだよな〜。どれくらい面倒かって、一次元の計算が二次元の計算になるぐらいは面倒だからな〜。
(薬草師ルディア)Fさん、その例え、良く分かりません。‥‥それに、完全に勝率が分かってしまった勝負なんて、したくないですよ?
(Phant.F)何を言う。バースデーパラドックスみたくなものを持ち出してきて、自分がはるかに有利な賭けをするんだよ。
(偵察兵ファント)道ばたでナンバープレート使って賭ける奴みたいにか?そんなサギ臭いものに誰が引っ掛かるかっての。
(薬草師ルディア)Fさん、レベルのバランスの話は――
(Phant.F)同じレベルはほぼ同じ強さを有し、レベル差のバランスは大きすぎぬよう小さすぎぬようにして調整する。あと、そこそこ電卓を弾く覚悟をする。以上。
(偵察兵ファント)最近のゲームって、本当に電卓弾いてるかどうか謎な奴が多いよな。本当、感覚だけで作ってるんじゃねぇのか?「これあるといいかな?」ってなくらいの感覚で。
(薬草師ルディア)うう、これだけ話したのはなんだったんですよぅ。(第29回・終わり)

番外。
バースデーパラドックス、直訳で誕生日逆説。
何人いれば、その中の『少なくとも1組が同じ誕生日である確率』が50%を越えるか?という問題。
あなたは何人くらいだと思うだろうか?

答えは、23人。

まあ、結構有名な話だから、知っている方は多いと思うけど。
導き方は、誰も誕生日が同じでない確率
(365/365)*(364/365)*‥‥
(1人目、2人目、‥‥)
が、50%(0.5)以下になったときの人数を求めれば良い。

ま、僕が書くまでも無いと思うけど。

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