第22回「ファンタジーと機械」

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(深緑の瞳を持つ女性)機械、ですか。Fさん(素のことらしい)の世界にはありふれた物らしいですけど、私たちの世界ではあまり見ないでしょうか。
(ぼんやりした少女)わたしは機械じゃありませんよぉ?
(灰銀髪の暗殺者)またいきなり何を言い出す。
(深緑の瞳を持つ女性)ルーニャちゃんは『造られた』という一点についてだけは、機械と同じですから。‥‥もっとも、呪法によって造られた命は呪法が高いレベルになると独立した人格を持つようになります。それでもほとんどの場合主の命令には従いますけど。
(ぼんやりした少女)でもそれってぇ、機械が極限まで進化したときはぁ、同じじゃ無いですかぁ?
(灰銀髪の暗殺者)オレは機械のことは良く知らない。それにここですべき話はそんなことではなく、あくまでファンタジーワールドと機械の関係、だ。もっとも、このメンバーで談義が成り立つかは少々疑問だが。
(深緑の瞳を持つ女性)‥‥ナイドさんっ!‥‥ルーニャちゃんだって、ちゃんといろいろ考えているんですよ!?
(灰銀髪の暗殺者)‥‥すまない。少し言いすぎた。――そうだな、オレが機械をみたのは、とある古い遺跡に入ったときの事だ。とても普通には開きそうにない扉があったのだが、それがトランプみたいなカードを通すだけで開いてしまうのだ。だが、カードなら何でもいいわけでは無いらしい。あれは不思議だ。
(ぼんやりした少女)あ、マスター(創造者(『授命の魔女』)のことで、素のことではない)に聞いたことがあります〜。はるか昔に滅んだぁ、機械文明があったって話ですよねぇ〜?
(深緑の瞳を持つ女性)素の方の世界よりも『進んで』いた文明だったという話ですよね。
(灰銀髪の暗殺者)古代の機械文明はそんな感じだな。では逆に、最近作られた機械を見たことはあるか?
(ぼんやりした少女)わたしは見たことないですぅ。わたしの世界はぁ、機械そのものがほとんどありませんから〜。
(灰銀髪の暗殺者)ああ、あっち(オリジナル世界)はせいぜいバリスタとかクロスボウ止まりだな。まあ、オレはあっちでも機械仕掛けの物を作ろうとしている変わり者の噂は聞いたことがあるが。
(深緑の瞳を持つ女性)王国ではどうなのでしょう。私は一度だけ変わった飛び道具を目にしたことがあるのですが、あれは何なのでしょう?
(灰銀髪の暗殺者)『銃』のことか?あれは機械的に作れば金属小片を爆発する薬品を使って飛ばすものだったか。だが魔法を推進力にする事もある。
(ぼんやりした少女)わたしの世界にはぁ、爆発する薬品なんでありませんよぉ?
(灰銀髪の暗殺者)ああ、無いな。あればそれは炸裂弾の完成を意味するし、程なく銃も完成してしまうだろう。‥‥まあ、もともと優れた魔法のある世界にできたての銃があらわれたところでどれだけ意味があるかはオレには分からないが。
(深緑の瞳を持つ女性)爆発する薬品って、私王国では時々見ているのですが‥‥?
(灰銀髪の暗殺者)ああ、見るな。だから王国には銃もあるし、魔力弾を飛ばす亜種もあるだろう。
(ぼんやりした少女)ナイドさぁん、機械のことは良く知らないって言ってませんでしたかぁ?
(灰銀髪の暗殺者)このくらいで知っているとは言わない。オレ達の中では裏事情から噂まで知っていないと、情報を流すには不十分だからな。
(深緑の瞳を持つ女性)‥‥機械は、世界によって全然立場が違いますね。同じファンタジーでも、機械が存在しない世界もありますし、機械が比較的一般に存在する世界、機械は古代の遺産である世界もありますね。
(ぼんやりした少女)意思を持った機械が中心の世界もぉ、あるかも知れませんね〜♪
(灰銀髪の暗殺者)もしかしたら、王国にもあるかもな、意思を持った機械人形。
(深緑の瞳を持つ女性)『いる』かも、と言っておきましょうよ。――ファンタジー世界にとって機械は、その世界を決定付ける1つの柱にもなり、世界を味付けするスパイスにもなりますね。‥‥では、今回はこれで終わります。(第22回・終わり)

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