第15回「武具(2)魔法武具」

SubTitle“鍛冶屋は魔法使いたれ?”

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(灰銀髪の暗殺者)今回は、魔法のこもった武器の話だ。魔法の話はオレだけではできないゆえ、素は自分の世界から一人呼んでくると言っていたな。‥‥ん?誰か来たようだな。
(黒ずくめの魔女)(ドアを開けて入ってくる‥‥ってここはどこなんだろう?(笑))付与魔術の話をして欲しいと呼ばれたのは、私よ。あなたは確か、ナイドさんね。
(灰銀髪の暗殺者)呼ばれたのは貴女か、『授命の魔女』‥‥。素の奴も性格が悪いな。
(黒ずくめの魔女)あなたは私のことを嫌っていましたからね‥‥。
(灰銀髪の暗殺者)まあいいだろう。スペースもあまり無いところだ、本題に入ろう。貴女は魔力で物に仮初めの命を吹き込むことができるほどの魔術師だが、本来物に魔法を付与させることはかなり困難なことなのだろう?
(黒ずくめの魔女)ええ、魔法を少しかじったくらいでできるようになることでは無いわね。言わば、魔法を永遠に物に封じ込めるわけだから。魔法発動系にしても、魔法付加系にしても、それは変わらないから。
(灰銀髪の暗殺者)つまり、優れた魔法武器を作れる者は、優れた鍛冶職人であると同時に優れた魔術師でもあるわけだな。
(黒ずくめの魔女)一人で作るならそうなるわね。私の場合は物自体は自分で作らずに、すでにある物に吹き込むことが多いわね。本当は、自分で作った物の方が良く魔法を受け入れてくれるのだけれど。
(灰銀髪の暗殺者)ならば、何人か集まって1つの魔法武器を作るのは効率の悪いことなのか?
(黒ずくめの魔女)単純に効率だけで言えばね。けど、魔法と技術を同時に学ぶことは困難よ。
(灰銀髪の暗殺者)剣士&魔術師と、魔法剣士みたいなものか。ならば、腕の良い魔術武器職人という奴らは魔術師職人というわけか。
(黒ずくめの魔女)そうなるわね。だから本来技術料だけでも貴重な物なのよ、マジックアイテムは。そのうえ材料費も高くつくことが多いわ。
(灰銀髪の暗殺者)確かに。ミーティアライト(meteorite:隕石・隕鉄)製の(推定)+2レイピアなど、考えただけでもぞっとするような値段になるな。オレの知り合いが持っているんだがな、そんな武器を。
(黒ずくめの魔女)それはきっと、相当腕の立つ職人さんが作ったのでしょうね。‥‥あなたのその剣はどうなの?見たところ結構なものよ、それも。
(灰銀髪の暗殺者)これについては、説明を控えさせて欲しいところだ。元はと言えば、刃の形から柄の部分までオーダーメイドで作った鋼の剣なのだが‥‥。
(黒ずくめの魔女)それだけで刃が闇色になったり、血が残らず流れ落ちたりはしないわ。
(灰銀髪の暗殺者)だからそこから先は言えないのだ。オレの話を聞いているのは貴女だけでは無いからな。言えることは、結果的に闇と風の魔力が高レベルで付加されているということだけだ。
(黒ずくめの魔女)残念ね。‥‥話は少し変わるけど、魔法の品物って剣と杖と装飾品に多いわね。別に他のものには付与できないというわけではないのに。
(灰銀髪の暗殺者)単純に需要ではないか?素の世界と違って何故かやたらと剣が好まれるからな。杖は魔術師が良く使うものだし、装飾品は誰でもつけられるからな。あとは、宝石と魔法は一般に相性がいいからだろうか。
(黒ずくめの魔女)防具の中で需要が多いものはあるかしら?
(灰銀髪の暗殺者)魔法がかかっている比率が比較的高いものは、聖騎士が着るスーツアーマー特にフルプレート、軽剣士や女性に好まれるブレストプレート‥‥鎧ではこれらが多いだろうか。あとはレザー系の鎧にもたまにあるな。しかし何と言ってもローブだろう。貴女のも例外では無いはずだ。
(黒ずくめの魔女)そういえばそうね。魔法は一般に普通の金属とは相性が良くないし、何より私たちは重い装備なんて着れないから、ローブを強化しておくしかないもの。
(灰銀髪の暗殺者)そのローブの強化は自分でやったのか?
(黒ずくめの魔女)ええ。何をかけたかまでは言えないけどね。
(灰銀髪の暗殺者)いや、かまわない。‥‥っと、そろそろ時間のようだ。いまいちまとまりの無い話になってしまったが、基本的にはサブタイトルの通りだな。
(黒ずくめの魔女)こっちの世界は本当に不思議な世界ね。じゃあ、私は戻るわ。あなたも出張ばかりしてないで、たまには戻ってみてはいかがかしら?
(灰銀髪の暗殺者)そうさせてもらうよ。それでは、またの機会に。(第15回・終わり)

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