feeling 1-page stories #07
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不死の薬/永遠の毒
− It bring immortality, is it medicine or poison ? −
ついに彼は、それを手に入れた。
飲めばいかなる事でも死なず、老いることも無くなる液体。
肉体は破損させることも困難になり、たとえ傷ついてもじきに修復されるという。
彼は迷わず、それを口にした。
果たして彼は、そのような存在となった。
――彼には幾つもの結末がある。
1つ。
彼はそれを過信し、己の思うがままに行動した。
結果、法に抵触し、人間に捕らえられた。
彼は永遠に閉ざされた。
――しかしそれは、彼にとっては仮初めの永遠。やがて彼は、開放される。
1つ。
彼はそれを、『良い事』だけに利用した。
いっときは英雄となったが、やがて人間に疎まれ、捕らえられた。
彼は永遠に閉ざされた。
――しかしそれは、彼にとっては仮初めの永遠。やがて彼は、開放される。
1つ。
彼は平穏に生きることのみを望んだ。
だが不死性を知った者たちが放置しておくはずが無く、捕らえられた。
彼は永遠に閉ざされた。
――しかしそれは、彼にとっては仮初めの永遠。やがて彼は、開放される。
1つ。
彼は不死性を隠し、放浪した。
やがて世界から意思を疎通できる存在は無くなった。
そして彼は気付く。
生き続けている意味がすでに無い事に。
しかし彼は、いかなる手段でも死ねない。
やがて彼は、肉体より先に精神が壊れて果てた。
不死性を得る液体。
それは薬であったか、それとも毒であったか――。
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-- Piece of Phantom --
composed by Phant.F
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