feeling 1-page stories #04
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真円の月/狂気の扉
− Lunatic Gate named "FullMoon" −
午前零時。
陽の光から完全に見放されたこの時間に、降り注ぐもう1つの光があった。
見上げると天頂には、真円を描く白い月。
それは遥かな高みから、冷たい光を流し込んでいた。
その光は、人間を、いや、生物全体を狂気へと誘う魔性の光。
夜空という天井にぽっかりと開いた扉から流れ込む、別世界の力。
その扉が最も大きくなる瞬間、人は狂気に囚われる。
天頂の扉から、地上へと目を戻した。
そこには、魔性の光に揺さぶられ、狂気に陥った世界があった。
見た目には、普段と変わらぬ静寂の夜。
しかし耳を澄ませば、あらゆる欲望が心の声として届いてくる。
欲望がざわつく夜。
理性という枷はその意味を無くし、欲望にただ従うしかない人間たち。
叫びが聞こえる。
苦痛も、快楽も、ごちゃ混ぜにして。
再び天頂の扉に目を向けた。
扉の向こうに一瞬、見えたような気がした。
この地上の有様を嘲笑い、愉悦に歪んだ顔が。
月は今宵も、地上を照らす。
静かに狂気を差し込みながら――。
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-- Piece of Phantom --
composed by Phant.F
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