feeling 1-page stories #02


back to feeling_1-page_stories top


繰り返す約束/永遠の砂浜
   − Eternal Wish as Ocean's Beats −

  ザザアァァァ‥‥ ザザァァン‥‥

繰り返す水の音。海の鼓動。

  サキュッ、サキュッ‥‥

湿った砂を踏みしめる音。

僕はちょっと熱い砂の地面に寝そべって、それらの音をただ聞いていた。
まどろみの合間に僕の目に映るのは、海岸線を歩く彼女。
彼女はただ、ゆっくりと砂を踏みしめる。波が時折、彼女の足を洗い流していく。
それだけだったが、僕には彼女がとてもはしゃいでいる事が分かった。
控えめな彼女に似合う長いスカートをちょっとたくし上げているのが可愛い。

  チャパッ、チャパッ‥‥

波の音に交じって聞こえてくる音が、砂の音から水の音に変わった。
転ばなきゃいいけど‥‥なんて考えが一瞬よぎってしまった事にちょっと反省。
それは彼女に失礼だ。彼女は子供ではないのだから。

不意に、彼女が振り向いた。
僕と目が合うと、かすかな微笑みを見せて、また波と戯れる。
僕はその微笑みに誘われて、彼女の元へ向かった。靴と靴下を脱ぎ捨てて。


  ザザアァァァ‥‥ ザザァァン‥‥

落ちてゆく夕日。吹き抜ける潮風。

僕らは熱さの残る砂浜に座っていた。
はしゃぎ疲れた彼女は、その身体をあずけるように僕に寄り添わせていた。
「楽しかった?」
僕は答えの分かっている質問をした。
「うん‥‥」
頷くと彼女は、今までよりもっと身体を寄せてきた。
「また、こようね‥‥?」
彼女がささやく。
「ああ、もちろんだよ。」
いつものように、僕は答えた。

それは、次の時までの約束。
だけどこれは――2人にとって永遠の約束。

初めてここで出会ったときから繰り返された、次への約束。
打ち寄せては返す波のような、果ての無い繰り返し。

誓いのかわりに、口付けをひとつ。
僕は彼女を抱き締めながら、波に沈む夕日を見送った。


back to feeling_1-page_stories top


-- Piece of Phantom --
composed by Phant.F