(偵察兵ファント) | 『宝物』と言えば『遺跡』にある‥‥確かにそうだろう。 |
(薬草師ルディア) | 王国の近辺にも、たくさんの遺跡がありそうですね。 |
(偵察兵ファント) | ああ。‥‥だが、あなたが遺跡に行くとして、何を探しに行くんだい? |
(薬草師ルディア) | それは‥‥例えば強力なマジックアイテムだったり、未知の物質だったり‥‥。 |
(偵察兵ファント) | 未知の物質はともかく、何で遺跡に強力なマジックアイテムがあるんだい?素の奴の世界なんかには、そんな遺跡は多分無いだろう。 |
(薬草師ルディア) | そう言われると、そうですね‥‥。 |
(偵察兵ファント) | 遺跡‥‥それは、過去の遺物。当然その中にある物も、過去の物だ。強力な物を探しに、過去の物を漁っているわけだ。 |
(薬草師ルディア) | それは、過去の物の方が優れているから── |
(偵察兵ファント) | それを不思議に思ったことはないかい?‥‥そう。僕らが遺跡で探す強力なマジックアイテムは、大半が“今は無き失われし技術”によって作られたものだ。 |
(薬草師ルディア) | 魔法も技術とすれば、それは確かに“ロストテクノロジー”ですね。 |
(偵察兵ファント) | そ。遺跡に強力なアイテムがある世界は、この理論で行けば滅んだ種族──それも今よりも進んだ技術を持った──がいたか、他の何らかの理由で技術を捨てたか失った、と言うことになる。 |
(薬草師ルディア) | 何気ない遺跡1つにそんな意味があったのですか。 |
(偵察兵ファント) | ‥‥ま、「実はその種族は少数ながら残っていて、技術も伝えている」なんてのも面白いと思うけどね。 |
(薬草師ルディア) | (‥‥なんだか今回のファントさん、素の方みたい‥‥。) |
(偵察兵ファント?) | もっとも、それを知る機会は滅多に無いけどね。だが、滅多に無いことがよく起こるのが王国!(拳を握り締める) |
(薬草師ルディア) | ‥‥ファントさん? |
(偵察兵ファント?) | そんな“失われた種族”を考えてみるのも、たまにはいいのではないかな? |
(薬草師ルディア) | ‥‥ファントさんが完全に素の方に乗っ取られてしまったようなので、これで第12回を終わります。(第12回・終わり) |
(乗っ取られファント) | でも、普段はそんな事まで突っ込まないよね。 |