第12回「遺跡」

SubTitle:「君は遺跡に何を探しに行く?」

prev(11) back next(13)

(偵察兵ファント)『宝物』と言えば『遺跡』にある‥‥確かにそうだろう。
(薬草師ルディア)王国の近辺にも、たくさんの遺跡がありそうですね。
(偵察兵ファント)ああ。‥‥だが、あなたが遺跡に行くとして、何を探しに行くんだい?
(薬草師ルディア)それは‥‥例えば強力なマジックアイテムだったり、未知の物質だったり‥‥。
(偵察兵ファント)未知の物質はともかく、何で遺跡に強力なマジックアイテムがあるんだい?素の奴の世界なんかには、そんな遺跡は多分無いだろう。
(薬草師ルディア)そう言われると、そうですね‥‥。
(偵察兵ファント)遺跡‥‥それは、過去の遺物。当然その中にある物も、過去の物だ。強力な物を探しに、過去の物を漁っているわけだ。
(薬草師ルディア)それは、過去の物の方が優れているから──
(偵察兵ファント)それを不思議に思ったことはないかい?‥‥そう。僕らが遺跡で探す強力なマジックアイテムは、大半が“今は無き失われし技術”によって作られたものだ。
(薬草師ルディア)魔法も技術とすれば、それは確かに“ロストテクノロジー”ですね。
(偵察兵ファント)そ。遺跡に強力なアイテムがある世界は、この理論で行けば滅んだ種族──それも今よりも進んだ技術を持った──がいたか、他の何らかの理由で技術を捨てたか失った、と言うことになる。
(薬草師ルディア)何気ない遺跡1つにそんな意味があったのですか。
(偵察兵ファント)‥‥ま、「実はその種族は少数ながら残っていて、技術も伝えている」なんてのも面白いと思うけどね。
(薬草師ルディア)(‥‥なんだか今回のファントさん、素の方みたい‥‥。)
(偵察兵ファント?)もっとも、それを知る機会は滅多に無いけどね。だが、滅多に無いことがよく起こるのが王国!(拳を握り締める)
(薬草師ルディア)‥‥ファントさん?
(偵察兵ファント?)そんな“失われた種族”を考えてみるのも、たまにはいいのではないかな?
(薬草師ルディア)‥‥ファントさんが完全に素の方に乗っ取られてしまったようなので、これで第12回を終わります。(第12回・終わり)
(乗っ取られファント)でも、普段はそんな事まで突っ込まないよね。

prev(11) back next(13)