中世風ファンタジーをベースにしたゲーム世界の武器について、武器種で性能比較するという、挑戦的なことを試みる。異論はいくらでも認めるものとする。

武器種の説明は後からするとして、いきなり比較表を出してみる。

種類分け表

性能比較表

必要能力表

武器種の種類分けの観点は次のとおり。

・持ち手

片手で使う武器であるか、両手で使う武器であるか。
片手・両手のどちらでも使える武器もあるが、評価に中間の値が欲しくなるため表からは割愛した。
遠隔武器については、準備も含めて全て片手で行えるもののみ片手武器とした。（飛ばす際に片手可のものは※を付けている）

・柄の長さ

近接武器について、持ち手の長さがどの程度あるかをざっくり4段階に分けた。

・重打撃部

近接武器について、重い打撃部がある武器であるか。
基本的には「ある」「ない」だが、例外的に特殊な打撃部を有する武器もある。

・刃

刃がある武器であるか。
ある場合、刃の持ち手の長さがどの程度あるかをざっくり4段階に分けた。
また、刃の特性を「刺」「斬」「鋭斬」の3つに分けた。
「鋭斬」は斬撃用の刃の中でも特に鋭い刃であるものを指す。
遠隔武器については、刃の長さについての評価はしていない。

・大きさ

遠隔武器について、武器の大きさをざっくり3段階に分けた。

・タイプ

遠隔武器について、投げて飛ばすものを「投擲」、それ以外の力を使って飛ばすものを「射出」とした。

性能比較の観点は次のとおり。

・攻撃性能

打撃力、装甲貫通力、致命打になりやすさ、を総合評価。
重量があったり、鋭い刃が付いていたりすると高くなる。
低いと主武器としては力不足。
遠隔武器の場合、射程距離や、攻撃までの準備時間も評価する。

・防御性能

攻撃をさばく力、敵の寄せ付けなさ、を総合評価。
バランスが良い武器や、間合いの長い武器だと高くなる。
低いと別の防御手段（盾、硬い小手、鎧、優秀な身のこなし、など）が必要。

・汎用性

武器としての使い方の多さを評価。
複数の攻撃方法があると高くなる。
低いと特定の相手に弱い事がある。
遠隔武器の場合、近接使用可能な武器は若干評価を上げた。

・扱い易さ

どの程度の練度である程度十分に武器の性能を発揮できるか、を評価。
攻撃方法が単純であったり、刃が付いていないと高くなる。
低いと訓練時間が多く必要。

・携帯性

持ち運びやすさを評価。
長くない、バランスが悪くない、手を使わなくても持ち運べると高くなる。
低いと平時の際に不便。

必要となる能力の観点は以下のとおり。

・筋力

ストレングス。パワー。
打撃力の源となる、超重要能力。
特に重い武器、バランスの悪い武器、振って使う武器を扱うのに重要な能力。
パワーは力。

・器用

デクスタリティ。テクニック。
正確な攻撃によって、致命的な一撃を与える能力。
特に突き刺し主体の武器、鋭利な斬撃の武器、長い武器を扱うのに重要な能力。
技は相手の命を刈る。

・敏捷

アジリティ。スピード。
有利な位置取りにより、武器の性能を最大限に発揮する能力。
特に軽い武器、短い武器と相性の良い能力。
速さは相手の死角を抉る。

・体力

コンスティテューション。スタミナ。
削りあいの際に最後まで鈍らない能力。
特に長期戦になりがちな鈍器と相性の良い能力。
しかし重い武器にも欲しいし、手数の多い軽い武器にも欲しい能力。

上記を踏まえ、各々の説明。

●片手杖

いわゆる「ひのきの棒」などが該当する武器種。
片手で扱える範囲の棒で、重い打撃部も無く、刃も無い、というもの。
扱いは容易であり、武器による防御能力は優秀であるが、攻撃力に欠ける。
敏捷性と体力があると良い。
長さによっては普通に杖として使えるので、山道のお供に一本、というのもアリかも知れない。

●片手槌

「メイス」「ハンマー」などが該当する武器種。
片手で扱える長さと重さで、刃の無い重い打撃部がついているもの。
扱いは容易であり、それなりに打撃力もあるが、長さが無くバランスが悪いため、防御には向かない。
筋力が要求され、体力もあると良い。
重装同士で戦う時、行きつく先は単純な殴り合いである。そうした時、鈍器こそ最大の武器となる。

●短剣

「ダガー」「スティレット」などが該当する武器種。
短い柄に、突き刺すのに向いた短い刃が付いているもの。
小型であり、鞘もあれば優れた携帯性があるが、短いため攻防ともに心許ない。
主武器として扱うならば高い敏捷性とともに器用さも要求される。
サブウェポンとして、投擲武器として、あるいは止めを刺すための武器としては重宝するだろう。

●短刀

「ナイフ」などが該当する武器種。
短い柄に、切るのに向いた短い刃が付いているもの。
小型であり、鞘もあれば優れた携帯性があるが、短いため攻防ともに心許ない。
主武器として扱うならば高い敏捷性が要求される。
優れた素早さがあれば大化けするかも知れないが、基本的には武器にもなる道具くらいに考えるのが無難。

●片手槍

「ショートスピア」「ジャベリン」などが該当する武器種。
片手で取りまわせる限界近くまでの長さの柄に、突き刺すのに向いた短い刃が付いているもの。
鋭い突きにはそれなりの攻撃力があり、間合いにより防御能力も高めだが、片手による突きはかなり難しい。
高い器用さが要求され、敏捷性もあると良い。
投擲武器にすることも不可能では無いが、長いため携帯性は悪く、何本も持てる物ではない。
メインにするには十分な練度が無ければ決定力が足らず、サブにするには持ち運びに困る、総じて扱いの難しい武器。使う者が使えば強い、かも知れない。

●片手斧

「バトルアックス」「トマホーク」などが該当する武器種。
片手で扱える長さと重さで、分厚い刃の重い打撃部がついているもの。
比較的扱いやすく、高い打撃力を持つが、長さが無くバランスが悪いため、防御には向かない。
筋力が要求される。それ以外もあるに越したことはない。
いざとなれば投擲も不可能ではない。無機物、特に木材などへの破壊力が高いのもポイント。
別に防御手段が用意できるのであれば、主力を張れる武器となる。

●片手嘴

「バトルピック」などが該当する武器種。
片手で扱える長さと重さで、振って突き刺す重い打撃部がついているもの。
高い貫通力を持つが、長さが無くバランスが悪いため、防御には向かない。
筋力と共に、器用さも要求される。
無機物、特に石材などへの破壊力が高いのもポイント。
別に防御手段が必要であり、振って突き刺すのにはそれなりに技術が必要となる。
装甲貫通性能は斧を超えるので、相手次第では化けることもある。

●片手剣

「ロングソード」などが該当する武器種。
短い柄に、片手で扱える長さの刃が付いているもの。斬りにも突き刺しにも使える。
それなりの攻撃力があり、そこそこの長さでバランスが良いので防御能力が高めだが、多機能さを使いこなすには練度が必要となる。
器用さ、敏捷性があると良い。それ以外もあるに越したことはない。
決定打にはやや欠けるが、携帯性の良さからサブウェポンとしても優秀となる。

●曲刀

「シミター」などが該当する武器種。
短い柄に、片手で扱える長さで湾曲した斬撃向きの刃が付いているもの。
片手剣の一種であり、攻撃性能・防御性能は片手剣に準ずる。比較すればやや攻撃性能寄りか。
高い器用さが要求されるとともに、敏捷性も要求される。
刺突が無い代わりに、湾曲した刃による斬撃を十分な威力にするために練度が必要になる。

●細剣

「レイピア」などが該当する武器種。
短い柄に、片手で扱える長さで突き刺すのに向いた細身の刃が付いているもの。
片手剣の一種であり、攻撃性能・防御性能は片手剣に準ずる。比較すればやや防御性能寄りか。
高い器用さが要求されるとともに、敏捷性も要求される。
片手による突きはかなり難しいため、十分な精度にするために練度が必要になる。

●両手杖

「クォータースタッフ」などが該当する武器種。
両手で扱う長い棒で、重い打撃部も無く、刃も無い、というもの。
扱いは容易であり、間合いがあり両手で扱うこともあり武器による防御能力は非常に優秀であるが、やはり攻撃力に欠ける。
体力があると良い。それ以外もあるに越したことはない。
携帯性はいまひとつではあるが、護身用としては選択肢の１つに上がるだろう。

●長柄槌

ハンマーヘッドの付いたポールウェポンが該当する武器種。あえて呼ぶなら「ポールハンマー」だが、あまり一般的な名称ではないか。
両手で扱う長い棒の先端に、刃の無い重い打撃部がついているもの。
扱いは容易であり、かなり打撃力があり、ある程度の防御力もある。
高い筋力が要求され、体力もあると良い。
重装同士の戦いの終着点の１つ。遠心力の乗った鈍器の衝撃は、いかなる鎧を着ていてもただでは済まない。

●殻竿

「フレイル」などが該当する武器種。
ある程度長さのある柄の先に、可動する刃の無い重い打撃部がついているもの。
鈍器の扱いやすさを捨て、打撃力を追及した一品。防御に使う事も難しく、そもそも攻撃にも相応の練度が必要となる。携帯性の悪さは言わずもがな。
高い筋力と高い器用さが要求される。
極まった武器ではあるが、それゆえ使いこなせれば強力でもある。使いこなせれば。

●両手槍

「ロングスピア」などが該当する武器種。
両手で扱う長い棒の先端に、突き刺すのに向いた短い刃が付いているもの。
長い間合いによる高い防御力と、鋭い突きによるかなりの攻撃力を持つが、間合いの維持や長い武器による突きに練度が必要である。
高い器用さが要求される。それ以外もあるに越したことはない。
長いため携帯性は悪いが、メインウェポンとして使える十分な性能がある。単純な造りながら、その性能は強力。

●槍刀

「グレイヴ」「なぎなた」などが該当する武器種。
両手で扱う長い棒の先端に、斬撃向きの刃が付いているもの。
長い間合いによる高い防御力と、遠心力の乗った斬撃によるかなりの攻撃力を持つ。ある程度の練度は必要。
筋力と器用さが要求される。それ以外もあるに越したことはない。
長いため携帯性は悪いが、武器としてのバランスは良く、メインウェポンとして使える十分な性能がある。

●長柄斧

「ポールアックス」などが該当する武器種。
ある程度長さのある柄に、分厚い刃の重い打撃部がついているもの。
とても高い攻撃力を持ち、ある程度の防御力もある。扱いやすさもそれなり。
高い筋力が要求され、器用さもあると良い。
長さと形状のため携帯性は悪いが、その切断力は随一。大概のものは叩き斬れる。

●長柄嘴

ピックの付いたポールウェポンが該当する武器種。あえて呼ぶなら「ポールピック」だが、あまり一般的な名称ではないか。
ある程度長さのある柄に、振って突き刺す重い打撃部がついているもの。
とても高い攻撃力を持ち、ある程度の防御力もあるが、振って突き刺す事にある程度の練度が必要となる。
高い筋力と高い器用さが要求される。
長さと形状のため携帯性は悪いが、その貫通力は随一。大概のものは貫き通せる。

●大鎌

「サイズ」などが該当する武器種。
ある程度長さのある柄に、そこそこの長さで内向きの刈り取る刃がついているもの。一応突き刺しも可。
それなりの攻撃力を持ち、ある程度の防御力もあるが、扱いの難しい形状はかなりの練度を要求する。
高い器用さが要求されるとともに、筋力も要求される。
もともと鎌の扱いに慣れていたり、それしか武器が無かったり、という理由で無いのにこの武器を使うのは、挑戦的であると言えるだろう。

●槍斧

「ハルバード」などが該当する武器種。
ある程度長さのある柄に、突き刺すのに向いた短い刃と、分厚い刃の重い打撃部と、場合によってはフックやピックが付いているもの。
高い攻撃力と、数多くの攻撃手段、ある程度の防御能力も持つが、多彩であるが故に扱いは非常に難しく、使いこなすには相当の練度が必要となる。
高い筋力と高い器用さが要求される。
長さと形状のため携帯性は悪い。性能は良いので、使いこなせれば非常に強力。しかし文句なしのメインウェポンにするための訓練は長い道のりとなるだろう。

●両手剣

「ツヴァイハンダー」などが該当する武器種。
短めの柄に、斬りにも突き刺しにも使える長い刃がついているもの。
かなりの攻撃力、悪くない防御性能、割と多彩な攻撃手段を持つが、多彩である分、やはり練度は必要。
筋力と器用さが要求される。それ以外もあるに越したことはない。
同じ長さの他の武器に比べ、鞘に入れて背負えるため携帯性が少し良い。やや難しいが、バランスの良い武器であると言えるだろう。

●両手刀

「野太刀」などが該当する武器種。
短めの柄に、湾曲した斬撃向きの長い刃ついているもの。
大きく見れば両手剣の一種。両手剣に近い性能を持つが、やや攻撃寄りか。
高い器用さが要求されるとともに、筋力も要求される。
曲刀と同じく、刺突が無い代わりに、湾曲した刃による斬撃を十分な威力にするために練度が必要になる。

●投石

そこらへんに落ちている石を投げる、という武器種。
投擲に適した何かを用意しても良い。硬貨を投げるという例もある。
遠隔武器であるというだけで最低限の攻撃性能はあるが、他と比べると力不足。
投げて単純にぶつければ良いので、他の遠隔武器に比べれば扱いは容易ではある。
有効なものにするには、器用さと筋力が要求される。
携帯性に優れる（なんなら拾えれば手に入る可能性がある）のが最大の利点か。

●短剣 (投)

「ダガー」などを投げる、という武器種。
主とするものではないが、ここぞという時にはある程度の攻撃力を発揮する。
刺さるように投げなければならないので、練度が必要となる。
有効なものにするには、器用さが要求される。
携帯性に優れるので、一本持っておいても損は無いか。

●槍 (投)

「ジャベリン」などを投げる、という武器種。
投擲武器のなかでは最大級の射程と貫通力を持つが、携帯性は良くない。
刺さるように投げなければならないので、練度が必要となる。
器用さと筋力が要求される。
先制の一投は、強力な一撃。しかし、投げ返しには注意。

●斧 (投)

「トマホーク」などを投げる、という武器種。
重い切断力を持つ遠隔武器、という他にはない特徴を持つ。
刃が当たるように投げなければならないので、練度が必要となる。
器用さと筋力が要求される。
普段使いよりは、離れて油断した相手に投げつける、という場合が主か。

●円月輪

「チャクラム」などが該当する武器種。
鋭利な斬撃を持つ遠隔武器、という他にはない特徴を持つ。
複数持ちできる程度には携帯性はよい。特殊な投擲であるため練度が必要となる。
器用さが要求される。
これだけで戦うには攻撃力が不足かもしれないが、ロマンはある。

●投石帯

「スリング」などが該当する武器種。
石を投げる布、なので、打撃力の実態は石。
手で投げるより飛距離も威力も上昇し、ある程度の攻撃性能を持つ。反面、投げるよりは難しい。
器用さが要求される。
携帯性に優れるので、他に遠隔武器が無ければ持っておいても損は無いか。

●短弓

「ショートボウ」などが該当する武器種。
木材などのしなりの力を利用して、鋭利な先端を持つ矢を飛ばす「弓」のカテゴリにおいて、比較的短いもの。
射程も威力も強力。反面、扱いは難しい。
高い器用さが要求され、筋力も要求される。
携帯性は良くないが、扱えるならば持っておきたい。

●長弓

「ロングボウ」などが該当する武器種。
木材などのしなりの力を利用して、鋭利な先端を持つ矢を飛ばす「弓」のカテゴリにおいて、比較的長いもの。
射程も威力も超強力。反面、扱いはとても難しい。
高い器用さと筋力が要求される。
携帯性は悪い。が、やはり扱えるならば持っておきたい。

●弩

「クロスボウ」などが該当する武器種。
機械仕掛けで引いた弓を固定し、トリガーで射出するもの。
射程は長弓に及ばず、1回の射撃に時間はかかるが、貫通力は随一。
遠隔武器の中では比較的扱いが容易である。
遠隔武器なので、やはり器用さは要求される。
携帯性は良くないが、荷物が許せば持っておきたい。

あくまで考え方の１つであり、これが全てでは無い。
そもそも現実として上記の通りであるとも思っておらず、ある程度ゲーム世界向けに均したつもりである。
これが誰かの何かの参考になれば、幸いな事である。

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追記。

・ショートソードは？
全てが短剣と片手剣の中間、と考えて良いかと。
ショートソードの武器種としての日本語名が、どうにもしっくり来るものが無い。

・バスタードソードは？
「扱い易さ」以外は片手剣と両手剣の中間、と考えて良いかと。
「扱い易さ」は1。片手持ち／両手持ちの両用という選択肢の多さは、扱いの難しさに直結する。

・脇差は？
ショートソードの曲刀版、と考えて良いかと。
すなわち全てが短刀と曲刀の中間。

・打刀は？
バスタードソードの曲刀版、と考えて良いかと。
すなわち「扱い易さ」は1、それ以外は曲刀と両手刀の中間。