実時間行動の欠片 --Realtime Action on RPG--
RPGというゲームジャンルには、本来的にはリアルタイムアクションを求められない。
そんなゲームジャンルに対して実装された、リアルタイムアクション要素についての功罪を語る。
RPG (Role Playing Game) というゲームジャンルには、本来的にはリアルタイムアクションを求められない。
行動を宣言したら、その行動の成否はおおむねの場合ランダマイザが解決する。行動の巧妙さはキャラクターの能力値に基づいて決定される。それが基本である。
そんなゲームジャンルに、あえてプレイヤーの操作スキルを要求する、リアルタイムアクション要素。
以下のようなものがそれに該当する。
- ATB (Active Time Battle)
- 目押し(正式なシステム名称は不明)
- QTE (Quick Time Event)
- シンボルエンカウント
- 武器振りエンカウント(正式なシステム名称は不明)
各々の話は後でするとして。
私はRPGにおけるリアルタイムアクション要素にはおおむね否定的である。自分が好むゲームにしばしば実装されているにも関わらず、である。
なぜなら。
リアルタイム性が要求されない、ということには、途中で放置しても問題ない、というメリットがある。
放置できるというのは、いくらでも長考できる、という事でもある。
1人でじっくりやって、何かあったらすぐ手放せる、それがRPGのメリットであると、私は考えている。
リアルタイムアクションを要求されるということは、そのメリットが無くなるということである。
プレイヤーの操作スキルが要求されない、ということには、プレイヤーの操作スキルの考慮がバランス調整に不要になる、というメリットがある。
プレイヤー側には関係ない? いや、そんな事はない。
ほとんどの場合、そういう要素がある場合、「プレイヤーがアクションに成功する確率が高いこと」を基準にバランスが組まれる。
つまり、プレイヤーの操作スキルが不足すると、RPG部分の攻略難易度が上がる事に直結する、ということである。
というスタンスを前置きしておいて、では各々の話に移ろう。
- ◆ATB (Active Time Battle)
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アクティブタイムバトル。バトルがリアルタイムで進行し、手番が回るとコマンドを要求されるシステム。
素早いキャラクターほど行動間隔が短くなり、また、敵がリアルタイムに状態を変化させるのに対応するという要素が生まれる。
自分が知る限り初出はFF4、その後長きに渡りFFナンバリングタイトルで採用されている。
だが、自分が知る限り、敵の状態を突くことに重きを置いていたのはFF4くらいだし、他だとクロノトリガーは連携のために味方を待つことに意味はあったが、それくらい。
素早いキャラクターほど行動間隔が短くなるのを表現したいなら、ウエイトターンシステムで良くないか? と思うわけで。
自分にとっては、コマンド入力が遅れる分だけターン損失を起こす、というデメリットのほうが強調される、というシステムである。 - ◆目押し(正式なシステム名称は不明)
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タイミングよくボタンを押すことで行動に追加効果を得られるなどの効果を得られるシステム。
自分が知る限りで採用されているのを確認しているのは、スーパーマリオRPG、アンリミテッドサガ、いけにえと雪のセツナ、あたりか。
まだやってないけど、Sea of Starsもこのシステムが搭載されていると聞く。
最近だとExpedition33のパリィもこれなのかな? 自分は未プレイなので聞いただけの話になるが。
まあ、スーパーマリオRPGについては原作がアクションゲームなので、アクション要素があっても元々だろ、ということでさほど気にはしないが。そもそも一部の技だけだし。
アンサガはまあ、アンサガだからなぁ。罠解除とか好きなんだけれどね。
まあこれも個人的な意見にはなるが、目押し成功側にバランス調整されていて、失敗は損失、としか思えないシステムと感じてしまう。 - ◆QTE (Quick Time Event)
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クイックタイムイベント。指定されたキーを制限時間内に正しく押すことで行動に成功するシステム。
書いてみたはいいものの、純粋なRPGで採用されているのを見た記憶が無いが・・・調べた限りあるようなのであるところにはあるのだろう。
ディシディアファイナルファンタジーの一部キャラの必殺技に実装されていたのは見たか。まあ、DFFはそもそもアクションだから良いが。
これこそ失敗は損失と思わされる典型。ことさらRPGとは相性が悪いと考える。 - ◆シンボルエンカウント
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敵シンボルがフィールド上を徘徊し、シンボルに接触すると戦闘が始まるシステム。
採用されているゲームは多いが、印象的なのはロマンシングサガシリーズ、サガフロンティアシリーズか。
ランダムエンカウントシステムと比較して、プレイヤーがバトルを積極的にするか、バトルを避けていくか、を選択できるというシステムである。
まあこのシステムは、リアルタイムにするなりのメリットはあると思う。バトルをある程度コントロールできることでストレスが下がる傾向にあるからな。
(なお、モンスター渋滞については考慮しないものとする)
まあ、強制エンカウントスキルとか、玄室システムとかで積極的なバトルを支援することはできるから、そのメリットを実現するのにリアルタイムが必須かと言うとそうでもないのだが。 - ◆武器振りエンカウント(正式なシステム名称は不明)
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シンボルエンカウントの中でも、フィールド上で敵に対して武器を振る事が可能で、当たれば有利な状態で戦闘を開始できる、というシステム。
自分が見たことがあるのは、ヴァルキリープロファイル、ペルソナ4、あたりか。
リスクを取って敵を回避するか、確実に戦闘に入るか、という駆け引きをするシステムと理解はするが、普通に戦いたくても外して不利開始になって無駄に消耗するという憂き目を見るシステムでもある。
結局のところ、RPGをやりたいんだから、普通にコマンドRPGをやらせろ、と。
いやまあ、どう取り繕ったところで、操作スキルに乏しいプアゲーマーの遠吠えなのであるが。
だがまあ確実に、導入するごとに「じっくりプレイ」からは離れていくのは事実である。
ゲームに急かされたくない、という人は、意外と多い。
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