後日談 --Epilogue--

DK3 オープニングテスト終了記念として、ヴェルダーク後日談。


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ヴェルダーク=ディヴァイン
 DK3 オープンテストのキャラクター。
 自他共に認める似非神父。

メモリア=アルティシエル
 DK2 第5期のキャラクター
 早口の魔女。ヴェルに白魔法の手解きをした賢者。



「久しぶりね、ヴェルブライト。」
 立ち寄った街で、本名を呼ばれた。
 もう長きに渡って偽名・ヴェルダーク=ディヴァインを使っている。故郷は故あって滅びているので、本名・ヴェルブライト=グレイプヴァインを知っている者は殆どいない事になる。知っている者がいるとすれば――
 声が掛かった方に向き直ると、そこには1人の若い女性魔術師が立っていた。よく覚えている姿だ。
「あんた、変わったわね〜。まあ、すぐに分かったけど。」
「変わったというよりは、成長した、だろう。最後に会ったのは私が幾つの頃だと? いやそれよりも、先生は変わらなさ過ぎるな。」
 そう。最後に会ったのはまだ故郷の街が健在で、私は成人になっていなかった頃だ。その頃と全く変わらぬ姿をしている。
「いやほら、魔女って少女かお婆ちゃんかどっちかでしょ? 中途半端な姿は取りたくないのよ。まだわたし、お婆ちゃんって年じゃ無いし。」
「そういう問題か?」
 全く、この人は中身も変わらない。
「しっかしあんた、ちょこっと教えただけの白魔法を、随分と使いこなせるようになったものねぇ。すっかり聖職者みたいな感じになってるし。わずかとはいえ、ダテに堕天の神格まざってないわ。」
 殆ど誰も知らないが、私が使う信仰魔法は『自分自身の力を信じる』事でのみ発動する。天にいるとされる他の神に対して祈る事はしないのだ。逆に、他の神の力を借りても決して信仰魔法は発動しない。それどころか他の神を呼んだりすると、自分自身から出せる力が減ると、先生は言った。故に私は、神を呼称する事を避けている。
「聖職者みたいではなく、聖職者ではあるのだがな、一応は。仕事はあまりしていないが。」
「他の神様崇めちゃ駄目だって言ったでしょ?」
「いや、崇めてはおらぬよ。教団に所属しているだけで、な。」
「‥‥あんたもいい性格してるわね。」
「先生ほどでは無いと思うがな。」
 即答した。
「ところであんた、随分と面白い面子で旅をしていたみたいじゃない?」
「む? 旅の途中で近くにいた事でもあったのか?」
「あんた、わたしが“探求の魔女”と呼ばれている理由を知ってる?」
「そんな風に呼ばれているのか? まあ、その好奇心だけでもそう呼ばれそうだが。」
「いや、まあそれもあるんだけどさ。 探索の魔法を使わせてもちょっとしたものなのよ?」
 ‥‥好奇心で白黒の魔法をマスターした彼女は、さらに自分の好奇心を満たす為に魔法の力を利用する事にしたらしい。その好奇心は底無しか。
「先生ののぞき趣味にとやかくは言うまい。で、誰が面白かったかな?」
「のぞき趣味とか言わないでよ‥‥って、文句無いんだ。」
「文句を付けて止まるような性格をしていない事は分かっているからな。」
「まあ、そうなんだけど。 ん〜‥‥全員面白いけど‥‥」
 先生はちょっとだけ考えた後、語りだした。
「まずはエオス。あの人、わたしの昔の旅の仲間。」
「ほう‥‥とすると記憶継承ではなく、長命か。」
「ふぅん、そこまでは読んでたんだ、あんたも。あの人、おそらく相当時空を渡ってるわね。」
「なるほどな。」
「世界を渡っているといえば、ワータイガーの娘もそうよね。」
「ああ、本人がそう言っていた。」
「本人が? ‥‥世界渡りを事も無げに口にするなんて、相当度胸あるわね。」
「む? 世界渡りなら、キョウヤ‥‥私以上の銃使いもそう言っていたが。」
「6人の中にアウトサイダーが3人も? ま、類は友を呼ぶって言うし、そういう事もあるかな。って、その人も自分で世界を渡っているって言ってたの?」
「うむ。何かしらの事故で飛ばされてしまっていたようだが。今頃は戻っていると良いがな。」
「あと、ヴェイグ姓の娘がいたわよね。 わたし、昔の旅でソリン=ヴェイグって人と旅をしていたのよ。」
「ああ、例の面白い魔器職人っていう人か。」
「そ。その人にもいろいろお世話になったわ。 で、多分その娘、ソリン姐さんと血が繋がってるわね。実の娘かも。」
「‥‥という事は、先生の昔の旅の仲間その人、あるいは縁のある人が私の旅の間に同行していたのか。奇遇な。」
「うん。で、最後になったけどあの薬売りの娘。わたし、ああいう娘大好きだわ。」
「うむ。裏の世界を知ってしまった後でさえ、まっすぐ生きられるだけの精神を持っている。普通、そうは行くまい。」
「そうね。大体はあんたみたいにひねくれるからね。」
「全くだ。」
「‥‥あんた、自分がひねくれてる事を楽しんでるわね?」
「当然。斜め下から世界を見るのは楽しくて仕方が無いぞ。」
「‥‥ま、いいわ。 でも結局、旅の最初に目を付けてたワータイガーの娘は、最後まで見届けないのね。」
「うむ、私の寿命が足らぬからな。だから私は、次なる世代の者を何人か導いてみようかと思い、旅を中断したのだよ。」
「‥‥あんたが子供の面倒見るの? それは面白いのが育ちそうだ。」
「仲間もそういっていた。」
 先生と2人、しばし笑った。
「じゃあそろそろ行くわね。とりあえず、ヴェイグ姓の娘には一度会っておこうかしら。」
「ああ。会って、イェーラの想像の斜め上を行ってくれ。ぶっとんだ賢者だとは伝えてある。」
「じゃ、また会いましょ、ヴェルブライト。」
「ああ。まあ、気が向いたらひょっこり現れてくれ。但し、幽体とかで来たら還すのでそのつもりでな。」
「‥‥気を付けるわ。」
 そうして、少女姿の先生はまたふらりと旅に出た。
 全く、これで大賢者というから、まだまだ世の中は分からぬ物だな。
 さて、私は、次なる世代を導くとするか――。



※あとがきに代えて。
Phant.Fです。DK3オープンテストがリセットされる事になりました。
私は普段キャラクターを作る際、殆どいわゆる『特殊な設定』を付けないのですが、今回は豪勢にいろいろやりました。後付け設定もありますが。特にメモリアなんて、後付け設定のかたまりですね。
前回のクラスシステムから、スキルシステムへと一変した Dark Kingdom ですが、それはそれで楽しませてもらいました。まあ、前回までの職業色は割と残っていたのですけれどね。
ともあれ、今回共に旅をして頂いた皆様、本当にありがとうございました。あなた方のおかげで、ゲームを何倍も楽しむ事ができました。

さて、次回の予定ですが、これを書いている 7/23 現在では全くの未定です。
一応次にも繋げられるよう、そういう台詞もちょこっと残しておきましたが。
またお誘いの声が掛かれば、どこにでも喜んで付いて行くでしょう。Dark Kingdom 以外でもいつでも歓迎なのですよ。

では、またの機会に。

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-- Piece of Phantom --
composed by Phant.F