後日談 --Epilogue--
DK3 オープニングテスト2終了記念として、ティーナ後日談。
back to DK2&3 top
back to Tiena's Space
ティーナ=L=フライズ
DK3 オープンテスト2のキャラクター。
素早さを身上とする女軽剣士。
ナイド=フライズ
DK2 第3期、第4期のキャラクター。
ティーナの剣の師匠。暗殺剣士。
思いのほか、師匠は近くにいるらしい。
師匠の最終試験を受ける為、まずは師匠に会いに戻らなければいけないと思っていたのだけれど。
とりあえず念のため近くの街の酒場で聞き込んでみたら、すぐに所在が明らかになったというわけで。
師匠も私と同じように、「自分と同じ服装をした人を探している」事を酒場のマスターに伝えていたらしい。
おそらく師匠は、私を探す為にそれをしたわけでは無いのだろうけど。
相変わらず師匠は街と森の生活を交互に続けているらしい。今は森の中という事で、私はさっそくそれらしい所に向かうことにした。
ほどなくそれは見つかった。
小屋とまでは呼べないにしろ、眠るには困らない程度に木々を組み上げて作られた寝床。
近くに水の流れる音が聞こえる。川も近くにあるのだろう。
そして、『開始』を意味するマーク。
そう、もう始まっていた。
私はすぐに、二刀を構え、神経を研ぎ澄ませる。
ぞわり、と、左後方にわずかに嫌な感覚。
この感覚を無視するようでは、師匠とは戦えない。 なにしろ気配も殺気も無い。『危険』を感知する事でしか、対処しきれないのだ。
私は振り向くと同時に、左の短剣で突きかかる。
黒い影が、短剣の突きのコースから僅かに身体をずらし、右手を伸ばしてきた。
それは、身体を内側から破壊する寸勁の性質を持った掌打。
当然ながら触られると危険。 すぐさま離れて、一旦体勢を立て直す事にする。
――泡沫(うたかた)。
私の姿は泡のように掻き消え、離れた場所に姿を現す。
‥‥そのように見える、私の移動術だ。
その『着地』予定地点に飛来する物を察知し、私は剣でそれを弾き落とす。
同様のナイフが、私の右に1本、左に2本飛んでいった。『着地』地点を予想して複数投げてきたのか。
私が弾いている間に、黒い影が地面を滑るように回り込んで近づいてくる。
――速撃・流影斬。
嫌な角度から迫る黒い剣。
私はそれに対抗して――
――清流の太刀(Clear Stream)。
お互いのすれ違いざまの一撃は決まらない。 師匠の剣は私の左の短剣が弾き、私の右の剣は師匠の手甲で受け流された。
2人は同時に振り返る。次は私が、仕掛ける。
――濁流の太刀(Muddy Stream)。
この私の動きは非常に分かりづらい。攻撃がどちらから来るかさえ気取られない幻惑の動作からの一撃だ。 師匠は構えたまま動かない。 構わず私は、背後から狙う。
振り向いた師匠に、一瞬睨まれた気がした。
――反撃・刺穿蹴。
回避動作と、穿つような蹴り。その2つが高次元で融合された動作に反応しきれず、その長い脚が私の身体を浅く捕らえる。
「つっ!」
その衝撃を体捌きで軽減し、少し離れて体勢を立て直した。
「‥‥オレに幻惑系の技は鬼門だろう。」
「いえ、試してみただけですよ。 これが決まるようなら師匠に圧勝できる事になりますから。」
「さすがにそこまで衰えてはいないつもりだがな。」
「ええ、技のキレは健在ですね。 ちゃんと鍛えてきた甲斐があったというものです。」
私は構えをわずかに変えた。瞬間、師匠の目の本気度が変わる。‥‥相変わらずこの人は、勘が良いというか何というか。構わず、仕掛ける事にする。
――水竜連華閃(Stream Worm)。
私が独自に編み出した、流れるような連撃。それに師匠は真っ向から対抗する。あの動きは‥‥
――連撃・乱れ風。
激しい連撃同士のぶつかり合いが始まった。
キィン!キキキィン!ヒュン!キィン!ヒュヒュン!キキキキキィン!!
私も師匠も引く気が無い。引く機も無い。
先に動いたのは、師匠だった。
私の短剣に当たりに来るようにも見える動作。実際私の左の短剣は、師匠の服を1枚切った。
――影霞め。
それが師匠のこの移動術の名前だ。攻撃を危険なほど至近距離で躱し、反撃の契機とする師匠の奥義の1つだ。これとバックスタッブで、どれほどの強敵を倒してきた事か。
師匠が突きの構えを取った。もちろんそれは回避動作と共に行われた事であり、一瞬という時間すら掛からない。それが放たれる前に、私は動く。
――刃の嵐(Blade Storm)。
私の最速の連撃。結局私は連続攻撃こそが持ち味であり、これこそが私の剣の真髄。
左右に1回ずつ浅い手ごたえがあったところで、師匠の影が消えた。
「おまえはオレを殺す気か!」
離れたところから文句を言ってくる師匠。
「‥‥そんな移動術持ってたんですね、師匠。」
私が知る限り、師匠は必ず影が地面を滑るような移動術ばかり使っていた。
「これは緊急離脱用の隠し技だ。 キミは独自に同じような技術を身に着けて攻防両方で使っているみたいだがな。」
「名前は?」
「『消影』。あまり使わんから適当な名前のままだ。とにかく、オレにこれを出させた以上、キミの勝ちだ。」
「という事は、これで卒業ですか。私も晴れて一人前ですね。」
「‥‥最終試験前で既に一人前だ。オレに勝ったキミは、もはや一流の仲間入りだろう。あきれた奴だ。これでもオレは、一応一流の暗殺剣士なんだぞ。」
「さて――」
「じゃあ――」
師匠と私の言葉が重なる。
「キミから言うといい。」
「師匠からでいいですよ?」
「‥‥ならば、同時に言うか。」
「一緒に一仕事、しようじゃないか。」
「一緒に一仕事、しようじゃないですか。」
お互いに軽い笑み。考える事は同じみたいだ。
「あ、仕事は決まってますからね。やることは護衛。顧客は――」
※あとがきに代えて。
ティーナというのは結局、ナイドの暗黒面を取り去って剣術に特化したキャラでした。
プレイ中にも、師匠の事がよく口に出されたりして、なかなかティーナを単独のキャラとして扱いきれていませんでしたが、どうだったでしょうか。
まあ、たまにはこういうのもアリかな、とも思いましたけれど。
ともあれ、楽しませて頂きました。
さて。
今のところ私は、今回を以って Dark Kingdom の世界での旅を終わろうと思っています。
全てが、楽しい旅でした。
そして、私にとって、やり残した事はありません。
私なりの楽しみ方で、全力で楽しませて頂きました。
運営者様に、心より感謝を。
そして全ての旅の仲間達に、心より感謝を。
ありがとうございました。
2009.02.22
――Phant.F
DK3 オープンテスト2のキャラクター。
素早さを身上とする女軽剣士。
ナイド=フライズ
DK2 第3期、第4期のキャラクター。
ティーナの剣の師匠。暗殺剣士。
思いのほか、師匠は近くにいるらしい。
師匠の最終試験を受ける為、まずは師匠に会いに戻らなければいけないと思っていたのだけれど。
とりあえず念のため近くの街の酒場で聞き込んでみたら、すぐに所在が明らかになったというわけで。
師匠も私と同じように、「自分と同じ服装をした人を探している」事を酒場のマスターに伝えていたらしい。
おそらく師匠は、私を探す為にそれをしたわけでは無いのだろうけど。
相変わらず師匠は街と森の生活を交互に続けているらしい。今は森の中という事で、私はさっそくそれらしい所に向かうことにした。
ほどなくそれは見つかった。
小屋とまでは呼べないにしろ、眠るには困らない程度に木々を組み上げて作られた寝床。
近くに水の流れる音が聞こえる。川も近くにあるのだろう。
そして、『開始』を意味するマーク。
そう、もう始まっていた。
私はすぐに、二刀を構え、神経を研ぎ澄ませる。
ぞわり、と、左後方にわずかに嫌な感覚。
この感覚を無視するようでは、師匠とは戦えない。 なにしろ気配も殺気も無い。『危険』を感知する事でしか、対処しきれないのだ。
私は振り向くと同時に、左の短剣で突きかかる。
黒い影が、短剣の突きのコースから僅かに身体をずらし、右手を伸ばしてきた。
それは、身体を内側から破壊する寸勁の性質を持った掌打。
当然ながら触られると危険。 すぐさま離れて、一旦体勢を立て直す事にする。
――泡沫(うたかた)。
私の姿は泡のように掻き消え、離れた場所に姿を現す。
‥‥そのように見える、私の移動術だ。
その『着地』予定地点に飛来する物を察知し、私は剣でそれを弾き落とす。
同様のナイフが、私の右に1本、左に2本飛んでいった。『着地』地点を予想して複数投げてきたのか。
私が弾いている間に、黒い影が地面を滑るように回り込んで近づいてくる。
――速撃・流影斬。
嫌な角度から迫る黒い剣。
私はそれに対抗して――
――清流の太刀(Clear Stream)。
お互いのすれ違いざまの一撃は決まらない。 師匠の剣は私の左の短剣が弾き、私の右の剣は師匠の手甲で受け流された。
2人は同時に振り返る。次は私が、仕掛ける。
――濁流の太刀(Muddy Stream)。
この私の動きは非常に分かりづらい。攻撃がどちらから来るかさえ気取られない幻惑の動作からの一撃だ。 師匠は構えたまま動かない。 構わず私は、背後から狙う。
振り向いた師匠に、一瞬睨まれた気がした。
――反撃・刺穿蹴。
回避動作と、穿つような蹴り。その2つが高次元で融合された動作に反応しきれず、その長い脚が私の身体を浅く捕らえる。
「つっ!」
その衝撃を体捌きで軽減し、少し離れて体勢を立て直した。
「‥‥オレに幻惑系の技は鬼門だろう。」
「いえ、試してみただけですよ。 これが決まるようなら師匠に圧勝できる事になりますから。」
「さすがにそこまで衰えてはいないつもりだがな。」
「ええ、技のキレは健在ですね。 ちゃんと鍛えてきた甲斐があったというものです。」
私は構えをわずかに変えた。瞬間、師匠の目の本気度が変わる。‥‥相変わらずこの人は、勘が良いというか何というか。構わず、仕掛ける事にする。
――水竜連華閃(Stream Worm)。
私が独自に編み出した、流れるような連撃。それに師匠は真っ向から対抗する。あの動きは‥‥
――連撃・乱れ風。
激しい連撃同士のぶつかり合いが始まった。
キィン!キキキィン!ヒュン!キィン!ヒュヒュン!キキキキキィン!!
私も師匠も引く気が無い。引く機も無い。
先に動いたのは、師匠だった。
私の短剣に当たりに来るようにも見える動作。実際私の左の短剣は、師匠の服を1枚切った。
――影霞め。
それが師匠のこの移動術の名前だ。攻撃を危険なほど至近距離で躱し、反撃の契機とする師匠の奥義の1つだ。これとバックスタッブで、どれほどの強敵を倒してきた事か。
師匠が突きの構えを取った。もちろんそれは回避動作と共に行われた事であり、一瞬という時間すら掛からない。それが放たれる前に、私は動く。
――刃の嵐(Blade Storm)。
私の最速の連撃。結局私は連続攻撃こそが持ち味であり、これこそが私の剣の真髄。
左右に1回ずつ浅い手ごたえがあったところで、師匠の影が消えた。
「おまえはオレを殺す気か!」
離れたところから文句を言ってくる師匠。
「‥‥そんな移動術持ってたんですね、師匠。」
私が知る限り、師匠は必ず影が地面を滑るような移動術ばかり使っていた。
「これは緊急離脱用の隠し技だ。 キミは独自に同じような技術を身に着けて攻防両方で使っているみたいだがな。」
「名前は?」
「『消影』。あまり使わんから適当な名前のままだ。とにかく、オレにこれを出させた以上、キミの勝ちだ。」
「という事は、これで卒業ですか。私も晴れて一人前ですね。」
「‥‥最終試験前で既に一人前だ。オレに勝ったキミは、もはや一流の仲間入りだろう。あきれた奴だ。これでもオレは、一応一流の暗殺剣士なんだぞ。」
「さて――」
「じゃあ――」
師匠と私の言葉が重なる。
「キミから言うといい。」
「師匠からでいいですよ?」
「‥‥ならば、同時に言うか。」
「一緒に一仕事、しようじゃないか。」
「一緒に一仕事、しようじゃないですか。」
お互いに軽い笑み。考える事は同じみたいだ。
「あ、仕事は決まってますからね。やることは護衛。顧客は――」
※あとがきに代えて。
ティーナというのは結局、ナイドの暗黒面を取り去って剣術に特化したキャラでした。
プレイ中にも、師匠の事がよく口に出されたりして、なかなかティーナを単独のキャラとして扱いきれていませんでしたが、どうだったでしょうか。
まあ、たまにはこういうのもアリかな、とも思いましたけれど。
ともあれ、楽しませて頂きました。
さて。
今のところ私は、今回を以って Dark Kingdom の世界での旅を終わろうと思っています。
全てが、楽しい旅でした。
そして、私にとって、やり残した事はありません。
私なりの楽しみ方で、全力で楽しませて頂きました。
運営者様に、心より感謝を。
そして全ての旅の仲間達に、心より感謝を。
ありがとうございました。
2009.02.22
――Phant.F
ひとつページを戻って“Flaydz”をクリックすると‥‥?
back to Tiena's Space
back to DK2&3 top
-- Piece of Phantom --
composed by Phant.F
composed by Phant.F